よんー

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「そして、それ以上に、私は彼女たち被害者からいろいろなものを学びました。何かしらの知識を、ワタシの中に彼らは置いて行ってくれたのです。人を貶める罪悪感、それを上回るほどの喜び。刃向うことの大切さ。人は人を信じることが出来ると言うこと。そして、そんな大層なものではないですが、最も大切な、悪いことをしたら復讐されるのを覚悟しなければならない。ということを身を持って教えてくれたのが、最後の彼女。彼女のおかげで、この発作のように表面化していたワタシを心の奥底に終うことができました。まぁ、私の意志の弱いばかりに、再び表面化してしまったのですが。」 それは、本当に申し訳ない。 今自分の言っていることがどうしようもなく我儘なのもわかってる。 でも。 「辺銀。あなたは何をしょげているのですか。ワタシにやられっぱなしでも、本当ならば私は文句なんか言いません。でも、辺銀、は何を気にしているの?あなたが作り出した社会のどこを恥じているの?それともあんな少しの家族との対面でさえ、辺銀の体には悪いの?ねぇ、もっとシャンとしてくださいよ。」 辺銀はそっと瞼を下ろそうとする。でも、そんなのは許さない。 「自分自身に蓋なんかしないで、しっかり前を見据えろよ。あなたの世界はぼやけているんでしょう?なら、しっかり瞼を押し上げて辺銀の世界を見つめなきゃ!本たちの可憐な花を見てあげてよ。あなたが、自分の殻に閉じこもる必要なんてない。確かに今の辺銀を作ったのは私かもしれない。だけど、辺銀がそこから抜け出すには、私の力じゃなくて、自分からその動きづらそうな殻を蹴り破らなきゃ。自分の作り出した人格を壊すんだ。じゃないと、辺銀はいつまでも不確かで、私たちの世界には、近づけないんだよ。」 だから、辺銀。 元に戻って。 どんな人格だろうが辺銀は辺銀。 変わることはできやしないんだから。
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