青春モジュレーション

友達ってなんだろうね。

「あ、エデパラ」

一生の不覚。まさに一生の不覚といえよう。
僕が、きっと一番露見したくないことを、不覚にも口走ってしまった。彼女も驚きを隠せず、こちらを見て固まっている。

彼女がパソコンでやっていたこと―――それはギャルゲーと呼ばれる、恋愛アドベンチャーゲーム。
『エデンズ・パラドックス』。通称エデパラ。昨年、某メーカーから発売された恋愛アドベンチャーゲームで、発売後まもなくして行われたギャルゲー人気投票で堂々の一位を獲得。その人気から、コミックス化・アニメ化・ノベル化・ドラマＣＤ化、家庭用ゲーム機・ポータブルゲーム機への移植、ファンディスクの発売など、一部濃厚な趣味をお持ちの方々を沸かした話題のゲームだ。

それに反応出来る僕は、世間でいうところの、オタク。それに気付かれないよう、気をつけてきたのに……。

「……エデンズ・パラドックス、知ってんの？」

「え……いや、まぁ。アニメを」

「ふんっ、なんだ。アニヲタか」

「えっ」

「…………」

えええええええっ……なんかそっぽ向かれた……。なんなんだよ、何がどうなってるんだよ……？

「……あれ？　君、昼休みに屋上にいた……」

「!?」

そういえば、とまた口が滑った。黙ってればいいものを、僕の口はなんて愚かなんだ。
彼女も、鬼のような形相で食らいついてきた。