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彼女は手を振りながら教室を飛び出し、廊下を駆けていった。
なんだったんだ……。
と、終業のチャイムが鳴る。さあ狸寝入りの時間がやってきた。
◇◆◇
非リア充の学生生活など、それこそ砂を噛むような話だ。メリハリを求める方が悪い。
今日も今日とて屋上で愛姉弁当を貪り食らう。だって教室に居場所がないんだもの。学食なんて行ったこともないもの。
「はぁ……リア充なりたいよー。友達とか彼女とかほしーよー青春したいよー……」
これがいわゆる本音。吐けるのはこんな時だけなんだから仕方がない。
「だからぁ……違うって言ってるじゃん」
今日の溜め息の味を吟味していると、不意に黄色い声が聞こえた。
なんというか、つい反射で身を隠す。街中で顔見知り程度のクラスメートに遭遇したらやるようなやつ。僕にとってはクラスメート全員顔見知り程度だけど。
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