この白球にのせて

第一話

俺には親友がいる。俺よりずっと野球が上手くて、能力的な才能と努力する才能のどちらも兼ね備えたまさに天才と呼べるような奴。

清本和重(きよもと　かずしげ)。

幼いころからずっと野球を一緒にしてきた。

始めたころは俺の方が上手かったが、あいつは努力に努力を重ね、天才バッターと言われるようになった。元々の才能も豊かだったのだろう。冗談でなく、ストライクゾーンにボールが来ればどんな玉でもスタンド、それ以上に場外に運んでしまうような化け物として恐れられた。

そんなスーパー選手を名門西強が放っておくことはなく、特待生として招き入れた。

俺はと言えば、そこそこの知名度しかなかったから、高校のスカウトは目もくれず、結局一般入試で入学しなければならなかった。

それでも、名門の野球部に入れる、清本ともっと長く一緒に野球ができると思えば、どうってことなかったのだが・・・・・。