桜舞う頃に

2/31
前へ
/36ページ
次へ
 花咲く日を夢見て待つ一本の桜。桜の樹の下で抱き合い口付けを交わす女と男。  不意に男の身体が傾いだかと思うと、砂の様に崩れていく。 「不味い。」  女はそう吐き捨て着物の袖で口を拭う。  桜の花によく似た薄紅の衣。妖艶で艶やかな、全てを惑わす魔性。 「今晩は、サクラ。」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加