桜舞う頃に
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『今晩は。良い夜だね。下弦の月も笑ってる。』 桜の樹の枝に腰掛け気だるくもたれかかっていた女を見上げながら、そう言って其れは上を指差す。空を仰げば下弦の月。 『相場としては満月か新月だろうけど、下弦も良いと思わない?』 無邪気に問い掛けるされからは微かに邪気が滲み出ていた。 喰ったらこっちが腹を壊してしまいそうだ。
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