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愛美は横目で、隣に座る女の子を見る。明らかに嘘をついているのが分かるくらいに不自然だった。
「ふぇ!?」
いきなり振られるとは思っていなかった宮春里菜は、ビクッと体を揺らした。
黒い髪を肩辺りまで伸ばしている。髪の下あたりの癖毛が目立っている。
「わわわわたし!? 順番的にはマナちでは?」
慌てながら里菜は言った。
里菜は愛美のことを、親しみを込めて『マナち』と呼んでいる。
過去にアダ名で呼ぼうと考えて『マナちゃん』と呼ぼうとした結果、変に途切れてしまい、『マナち』となった。
愛美は特に気にしてないらしいが、なぜ里菜が変えなかったのかを彼女は知らない。
それは、『一度呼んじゃったし、もうこれでいくしかないか……』という、ちょっとした開き直りだった。
「あ、あららぁ……?」
「諦めろ愛美。さぁ、食え!! よくよく考えると言い出したのはお前だ」
言われた愛美は、しぶしぶ震える手で鍋の中の正体不明の食材を口に運ぶ。
「あむ。ん、ん……んぐ」
じっくりと、ゆっくりと食材を飲み込んだ愛美は、机をドンッと叩いた。
「ぁぁぁぁぁぁあああああ!!」
また一人。
叫び声を上げて、その場に倒れてしまった。
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