4人が本棚に入れています
本棚に追加
思わず立ち上がり叫んだ渉。それに驚いた里菜は肩を震わせた。
「……次は」
呟いて、渉は里菜の方を見た。
見られた里菜は、もう泣く数秒前といった感じで渉を見つめていた。
「うぅぅ……食べなくてはいけませんか?」
上目づかいでそんなことを言われると、男なら誰だってうろたえてしまう。
「え、と……」
目の前で犠牲者が三人も出ているところを目の当たりにした。
これ以上増やしていいのだろうか? そんな疑問が渉の中に浮かび上がる。
里菜は鍋と渉の顔を交互に見続け、そしてゴクリと生唾を飲み込んだ。
その時の顔は、何かを決意したような顔だった。
「……里菜?」
パクリ。
里菜は箸で食材を掴み、口の中に放り込んだ。
「んぅ……くぅぅ」
そして、里菜は目を回し、倒れてしまう。
「な……」
今、目の前で起こった一瞬の出来事を見て、渉は
「くそーー!!」
鍋の中に箸を突っ込み、勢いで口に入れる。
二三回噛んだ後、それを飲み込んで、例のごとくその場に倒れる。
最初のコメントを投稿しよう!