プロローグ

4/4
前へ
/27ページ
次へ
 俺が中二で先輩が中三の秋、とある平日の昼下がりの事だった。突然全校生徒に渡された両面テープ付き紙風船と水鉄砲。渡したのは俺達剣道部員だ。昼飯を食べ終え、のんびりとしていた空気を変えたのは先輩の声を乗せた放送だった。  その日、校舎内は水が飛び交い、教師の怒号と男子の悲鳴と女子のため息に満たされた。  最後まで紙風船を守り抜いた者に先輩とのデート権を与える。細かいルールがあったが忘れた。結局生き残った男子は先輩に水をかけられ、デート権は誰にも与えられなかった。もちろん先輩含む俺達剣道部員はこってり絞られた。  つまるところ、先輩は奇人なのだ。あえて言おう。それでも好きだ!  本日は八月二十日なり。夏休みも終盤に差し掛かる。先輩がそろそろ本気を出す頃だな。などと思っていたら帰宅部計五名へと呼び出しメールが一斉送信されてきた。  以下、本編。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加