【第三章 一か月後の校舎】

6/6
前へ
/16ページ
次へ
「わたし地縛霊なのかな?」 理屈は分からないが とにかくわたしは 学校の敷地より外には出られないらしい。 戸締りを見落としていたらしい 一階廊下の窓から 再び、校舎の中へ侵入して 日中、占領していた 屋上へ続く階段の踊り場へしゃがみこむ。 屋上は危険性を理由に 立ち入り禁止になっていたので 実質、行き止まりとなっており、 薄闇に包まれた隠れ家的好スポットだったが、 五階まで上がってくる労力と鑑みて、 やってくる生徒はほとんどいなかった。 掃除場所からも外されて、 使用されていない体育祭用の赤コーンだの、 机と椅子のセットだのの ガラクタに埃が分厚くつもっているが、 死んでしまったわたしには何の影響も及ぼさない。 寒さも感じない体で、 コンクリートの冷たい床に 海老のように丸まって寝たら、 気のせいかも知れないけれど、 きんと頭が痛むような、そんな気がした。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加