【第一章 わたしは死んでいる】

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  枝野 林檎。 四月生まれなのと あ行の名字のせいで 出席番号はいつも早い。 身長は百五二センチで 体重はまだ適正範囲内。 勇気がなくて まだ染めてない髪は 高校デビューで大幅にカットし、 内巻きのロングボブにしてる。 服装は 今でいう森ガール系。 お母さんの趣味もあって 雑貨屋めぐりをするのが好き。 今年の四月に 第一志望だった 県立の緑花高校に落ちて、 すべり止めで受けていた 葉桜高校に入学した。 葉桜高校は 市内でも有名なすべり止め高校で 在校生のほとんどが わたしと同じように 受験で失敗した生徒と考えていい。   おかげで 学校内の勉学に 対する士気は低く、 どうせといった空気が そこら中に漂っている。 先生ですら 「いくら教えてもやる気がないからだめだ」 と思っている節があり、 改善される雰囲気は皆無だった。 それでも 毎年、定員割れしないのは 駅の南口から出て 徒歩五分という立地条件と ボーダーラインぎりぎりの 第一志望に不安を持つ受験生が 大量にいるからだろう。
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