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【第二章 わたし誰かに殺された?】
反射的に自分の首を
そっと両手で覆う。
――……まさか。
鏡に映せば誰かの手のかたが
くっきりと
青あざになっているんだろうか。
不安になって
女子トイレに駆け込み、
手洗い場の鏡を見る。
一瞥してわたしは
泣きそうになった。
でも、一瞬後には
何だかおかしくなってしまって
少し口角を上げる。
「死んでるんだもんね」
体は透けてなんかいないし、
地面もちゃんと
踏みしめられる。
宙に浮くなんて相変わらず、
未知の世界だし
壁だってすり抜けられない。
だけど幽霊なんだ。
叫んでも
声は誰にも聞こえないし、
授業中に足音を立てて
廊下を走っても先生が
咎める事もない。
――鏡にはわたしの姿が映ってなかった。
ただわたしの
背後の壁をとらえるだけだった。
青あざがあるか
どうかなんてわかるはずがない。
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