STEP1

2/11
前へ
/156ページ
次へ
.  ベラは何かに追い立てられるように地下貯蔵庫に駆け込んだ。その勢いのまま、壁際のテーブルに喰らいつく。  飛びつかれた反動で、建て付けの悪いテーブルの脚はぎしぎしと軋んだ音をたてた。ベラは悲鳴を上げるテーブルには頓着せずに、そこに置かれた籠の中に手を伸ばす。  がむしゃらに納められていたタマゴを掴み出すと、途端にベラの口から言葉が溢れ出した。 「――クソガキ! クソガキ! 人の気も知らないで……!」  今まで堪えていたものが、口から眼から雫となって零れ落ちる。 「私が何したって言うのよ! ただ母親が魔女だったっていうだけじゃないの!」  ぐずぐずと鼻を啜り上げながら、物言わぬタマゴに感情をぶつけた。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

784人が本棚に入れています
本棚に追加