先ず始めに……

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 ベラ・ルース。  銀杏の木の根本に、まるでミノムシのようにうずくまっている少女がそれだった。  赤毛と一言で表すには違和感のある、黒ずんだ赤褐色の長い巻き毛と碧緑の瞳。  所々当て布をして繕われた、みすぼらしい焦げ茶色のワンピースを身に着けた少女。ベラは、体中に扇状の黄色い葉を纏わり付かせて座り込んでいる。  そこへ更に子供達のはやしたてる声と共に、石つぶての交じった銀杏の葉が降り注いで来た。 「サビ頭のブサイクベラ~!」 「これでちょっとは綺麗になるだろ?!」
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