先ず始めに……

8/9
前へ
/156ページ
次へ
「うるせー! ベラのくせに生意気だぞ?!」 「邪教徒の子のくせにオレ達に逆らうつもりか?!」  反論された事が信じられないと言わんばかりの表情で、子供達は口々に怒りの声をあげる。 「お前なんか女でも人間でもないからいいんだよ!」 「そうだそうだ!」  一人が上げた抗議の声にもう一人が賛同し、その賛同の声にまたもう一人が加勢する。やがて丘の上には 「ベラは邪教徒の子」 と言う大合唱が巻き起こった。 「…………っ!」  ベラは怒りにわななく両拳で、スカートの裾を引きちぎらんばかりに強く握り締める。唇を噛んで言葉も無く俯いた。  そこへ再び石つぶての混じった落ち葉の塊が、矢のように投げ付けられ始める。 「邪教徒の子!」 「邪教の国に帰れ!」 「帰れ!」
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

784人が本棚に入れています
本棚に追加