嫉妬~3月9日~

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嫉風は手に日本刀をもっていた。 町でも有数の大きなショッピングセンターの中で、 血で紅く濡れた日本刀を。 買い物客や、ショッピングセンター内のゲームセンター目当ての子供達。それら全てが恐怖で言葉を失って、体に力が入らず、その場に立ち尽くすだけだった。 足下には長年一緒にいた親友が血溜りの中で、腹部を押さえながら嫉風を見つめる。 その目は嫉風に 「なぜ?」と問いかける。 「惚けるなよ」 嫉風は親友だった「人」の顔を踏みつける。 踏みつける。 踏んで、踏んで、踏んだ。 怒りに身を任せ次第に力を込めながら、字の如く踏み潰した。 動かなくなった「人」を蹴りとばし、明日で付き合って一年目を迎える彼女のもとへ向かう。 一歩 この場の空気が体を硬直させる。表情すら凍る。眉1つ動かせない状況で、 嫉風の顔は、晴れやかだった。 また一歩 彼女が絞り出した声 「なんで…嫉風…」 彼女の声が嫉風に届くことはなかった。
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