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―リン
聴こえる。
あの音が。
―シャン
胸に響く。
不思議な音。
―リリンッ
何処から聴こえるのか
分からないけれど。
―シャラン
こんなにも
切なくなる。
どうして……。
―――
「…………?」
あやめは長い眠りから目を覚ました。
見慣れない天井が疑問を孕む。
祖父母の旅館とは違う、焦げ茶色の天井。
鼻を刺激するい草の匂いも、何処と無く違う。
「ここ…?」
自分は確か蔵に居た筈なのに。
何故こうして寝ているのだろう。
あやめは何度か瞬きを繰り返し、ゆっくりと起き上がった。
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