1829人が本棚に入れています
本棚に追加
/533ページ
「目が覚めたか」
「―!」
不意に横から声がして、あやめは肩を揺らした。
まさか人がいるとは思っていなかったのだ。
そろりと視線を動かせば、黒い着流しに身を包んだ男が刀を抱いて壁に寄り掛かるように座っていた。
あやめが直ぐに男が持ってるのが刀だと分かったのは、蔵掃除の時に骨董品の一部として見ていたからだ。
それが偽物では無い事も理解している。
「えと、貴方は…?」
あやめは何故刀があるのか。
何故着流しを着ているのか。
そんな外見よりも男の名を知りたかった。
自分でも不思議な位、彼の名前が気になったのだ。
「……斎藤一」
最初のコメントを投稿しよう!