誘いの鈴-イザナイノスズ-

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 もしかしてここは映画村なんじゃ…? そんな考えがあやめの脳裏を過る。 もし映画村なら、彼が斎藤一と名乗ったのも分かる。 斎藤一、新選組にいた三番隊の隊長で居合いの達人だ。 あやめは昔から歴史が好きで、記憶力には自信がある。 彼もまた、成りきっているのだろうか。 ならば…やはりコスプレ好き? 「…おい、聞いてたか」 「―へぁ?」 すっかり自分の世界に入り込んでいたあやめは、呆れの混じった言葉に間抜けな声で返した。 「……その分だと聞いて無かったようだな」 「あ…す、すみません」 「…もう一度言う。俺は少し席を外す。部屋からは出るな」 「え…何故ですか?」 「…………いいな」 「ちょっ…」  斎藤は質問に答えず、スタスタと部屋を出て行ってしまった。 「何なの…」 取り残されたあやめは暫くポカンと口を開けたが、カタリと音が聴こえて我に返る。  
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