誘いの鈴-イザナイノスズ-

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立ち上がろうとあやめは布団から出た。 現代にしては珍しい薄っぺらい布団。 細かい所まで凝っているなと感心し、足に力を入れる。 ―だが。 「わっ…」 自分の足なのにいう事が利かず、ベシャリと情けない恰好のまま布団に顔から突っ込んだ。 「いたた…」 どうやら長い間寝ていたらしい。 足がじんじんと痺れていた。 「もう…さいあ、く…」 ボサボサになった髪を直し、顔を上げた瞬間。 閉められていた筈の障子が開いていた事に気付く。 目の前に立っている、誰かにも。 「………」 あやめはゆっくりと目を動かし、下から上へと立っている人物を見た。 「…っ」 そして、目が合う。  
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