誘いの鈴-イザナイノスズ-

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「やぁ、おはよう」 陽気な声で、にっこりと笑う青年。 その笑顔が、黒いものが含まれているとあやめは本能で悟る。 とても顔が整っていてモテそうなイメージだが、彼から滲み出る空気が普通では無い。 彼は絶対イジメッ子だなと、瞬時に思った。 「…ねぇ、いつまでそんな恰好してるの?疲れない?」 「え?…あ」  目の前に立つ青年に指摘され、あやめはやっと可笑しな体勢を直す。 彼は一体誰なのだろう? 障子が開いた事さえ気付けなかった。 「おはよう。気分はどう?」 「あ…、おはよう…ございます。気分は…普通です」 二度目の挨拶をぎこちなく返し、あやめは今度は直ぐに気付く。 「…刀」 彼も、刀を腰に差している事に。  
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