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煽るな。
これは今の斎藤の一番の願いと言ってもいいだろう。
愛しい女が己の腕の中に居て、強請ってくる。
考えただけで、理性が飛びそうだ。
「あの…ごめん、なさい…」
あやめは斎藤の、男の心情を理解出来ていない。
謝ればいい訳では無い。
謝って欲しい訳でも無い。
ただ、不用意に煽るなよという訳で。
しかし煽る、というのがあやめにはイマイチ理解し難いのだろう。
目尻に涙を残したまま見つめて来るその姿がもう、煽っているのだ。
「……これも鍛錬…なのか?」
「え?」
「…気にするな。…それで、芹沢さんの所だったか」
この空気のままでは彼女を犯してしまいそうだと、斎藤は無理矢理話を最初に持って行く。
こうなる原因になった話でもあるが、言わなければ先に進まない。
「あ、はい…明日土方さんたちと芹沢さんの所に行く話になっているんですが」
「……俺も、同行しよう」
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