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「…一さん、も?」
少し間を空けて、あやめは反芻する。
「同行の件は俺から土方さんに直接言うから心配は無用だ。あの人がどのような条件を出して来るのか…直接訊きたい。…嫌か?」
「いっ、いいえ!一緒に居てくれたらとても心強いです!…実は、少し…怖くて…」
芹沢があやめを呼んだ理由。
三日に一度、芹沢の下へ通う意味は?目的は?
土方から話を聞いて、時間が経てば経つ程余計な事を考えてしまう。
斎藤に話せば少しは気が楽になるかと踏んだが、莫大とした考えは膨らむばかり。
不安。恐怖。
更に斎藤に話した事によって起こった自身の中の不思議な感覚。
身体の奥底が熱くなって、もっと欲しいと思ってしまう感情。
「……あやめ?」
「っ!」
不意に頬に触れられ、あやめは目を瞠若させた。
一体何が起きたか分からず、ぱちぱちと何度も瞼を瞬きする。
「大丈夫だ。…悪いようにはならない。俺がいる」
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