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優しい口づけが降り注ぐ。
額に、瞼に、頬に。
あやめを慈しむように。
真綿に包まれたみたいにふわりとして、砂糖菓子のような甘い口づけ。
次第に涙は止まり、あやめの頬は紅をつけたように染まる。
「あ、あの…」
あやめは蚊が鳴くような声を絞り出す。
段々と落ち着いてくれば、感情に支配された先程の自分が恥ずかしい。
幼子のように拗ねて泣きじゃくってしまった事に。
「泣き止んだか…?」
斎藤のどこかホッとしたような声音に、あやめの羞恥は上がる。
これでは子どもの子守りと一緒ではないか。
「………」
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