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それをまさに目の前で見せつけられる寅の頭。
少年は右足を元の細い足に戻すと残骸から足を挙げる。
ねちねちと靴の底にも血のりと肉片がこびりついて糸を引く。
そしてそんなことも気にせず、少年はトボトボと東門の方に歩いていく。
『お~とっと。ガロ・ブーシュカ~。お~い。まだ生きてるよ~。とどめは~?とどめ刺さないと試合終わんないんだけど』
そんな実況の声も無視して東門まで辿り着くと、振り返りヤコゼンを見た。
「おい寅ぁ」
少年は、地面にへばりついて動かなくなったヤコゼンに話しかける。
「悔しいだろ~?来いよ。闘っていけや」
というより挑発。
「そのまま安楽に逝けると思うなよ。俺はそんなに甘くねーんだわ」
寅の頭は恐らく何を言われているのか分からないだろうに、その言葉に対して頭を持ち上げようとする。
だが地面とお友達になってしまった獅子の頭のせいで体を持ち上げることができない。
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