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トボトボと客席と闘技場を仕切るフェンスに近づき腰をかけると、また空を見上げる。
「左欠けの三日月かぁ。渋ぃなぁ~」
試合中だというのにこの少年に緊張感は感じられない。
誰も何も言わなかったらずっとそうしているのでは?と感じさせるくらい夢中になって空を見ている。
油断していると踏んだのだろう。
息を整えたヤコゼンが、今度は息を殺して獲物を狙う。
野生から捕まえてきた猛獣だけに気配の消し方は一流だ。
のそり、のそりと音も無く空を見上げるターゲットに近づく。
5m。
まだ気づいていない。
4m。
3m。
普通ならかわすことができないギリギリ。
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