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「俺をここに連れて来たのはお前らなのか!?」
俺の前に立っている男が眉間に皺を寄せた。
「よく見てみろ…。みんなお前と一緒だ」
「一緒…?」
俺はここにいる全員を見た。
みんなの手首には同じデザインの腕時計が巻かれていた。
…俺の手首にも。
「…何だよ、これ」
「俺たちにだってわからない。気付いたら…ここにいたんだ」
俺は気味が悪くなって腕時計を外そうとしたとき、ここにいる誰の声でもない声が響いた。
『外スト、死ンジャイマスヨ』
動きがピタリと止まる。
『ソノ時計ニハ少々細工ヲシテイマシテネ…外スト爆破スル仕掛ケニナッテイマス』
学校の制服を身に纏った少年が少し困惑したような目で天井を見上げている。
目線の先を辿ればそこには監視カメラのようなものが取り付けられていた。
…あれで俺たちを見てるってわけか…。
「お前は…誰なんだ」
俺は低い声でカメラに向かって言った。
そうだ…、お前は誰なんだ。
すると、クククと独特の笑い声が聞こえた。
『失礼…。申シ遅レマシタ。私ノコトハ田中ト呼ンデ頂ケレバ結構デス。サテ…、デハ本題ニ入リマショウカ。マズアナタガタガココニ集メラレタ訳…ワカリマスカ?』
「わかるわけないじゃん」
制服の少年は眉を顰めながら言った。
『ククク…、アナタガタハ…罪ヲ犯シテイマス』
「…罪?」
『傲慢、嫉妬、暴食、怠惰、憤怒、色欲、強欲…少シハ心当タリガアルンジャナイデスカ?』
「はあ?そんなもん…」
『マア…罪ヲ犯スコトハイケマセンガ…一番罪深イノハ…ソノ罪ガ何ダカワカッテナイ人デス』
奴が俺の言葉をかき消すように言い放った。
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