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「なっ…!そんなの聞いてねえぞ!」
『今言イマシタカラネ』
然も楽しそうに田中は笑った。
1人だと…?
少なくともここには7、8人いる。
…自分が助かる可能性なんてほぼ0じゃねえか…。
『助カリタインデスヨネ?…ダッタラ、生キ残レルヨウニ頑張ルシカナイデス。今スグニ死ニタクハナイデショウ?タダ、私ノ指示ニ従エバイイダケノコトデスカラネ。誰ダッテ頑張レマスヨ』
「俺は指示に従う。まだ死にたくない」
本棚に凭れかかっていた少年が、監視カメラに向かって言い放った。
『他ノ皆サンハドウサレマスカ?』
「従うに決まってんだろ!俺は…こんなとこでまだ死ねない」
俺の声に続いてみんなも頷く。
『決マリ…デスネ。ククク…。ソレデハ初メマショウカ。中央ノ扉ノ右横ニ指紋ヲ認識スル機械ガアルノガワカリマスカ?』
制服の少年が真っ先に中央の大きな扉に視線を向けた。
年齢は高校入りたてぐらいだろうが、この中では一番行動力があるように見える。
「ここに指を置けってか?」
『ハイ。右ノ人差シ指ヲ置イテ下サイ』
少年は迷わず機械の方へと歩み寄った。
…少しでも生きる確率があるなら迷っている暇はないってか。
みんなが様子を覗っている中で、俺も高校生に負けていられないと少年の隣りの機械へ近付いた。
人差し指を一気に機械に押し付ける。
5秒程経ったところでピーという音が響いた。
「何だよ…。何も起きないじゃん。ビビって損した」
目を細めながらボソリと少年が呟く。
今のでビビってたっていうなら俺は超超超ビビってたんだけど。
そんなこと口が裂けても言えないが。
「何も起きないなら、私もさっさと済ませちゃお」
金髪の長い髪をポニーテールに束ねた俺と同い年くらいの女も機械に指を押し付ける。
それを見て他の奴らも一斉に指を押し付けた。
数か所からピーという音が響く。
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