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別に玲志が嫌いなわけじゃない。
一緒にいたら楽しいし、話も弾む。
けど、何かが物足りないのだ。
刺激が無いというか…
そんなことを考えているうちに日は過ぎて、デートの日になった。
集合場所は、近所の公園。
これも毎週のことだ。
そして
「ごめん、遅れたっ!」
「うん、いいよ」
「ほんっとごめん!!」
玲志が十分以上遅れてくるのも毎週のことだ。
私は必死に謝る玲志の横を通り、黙ったまま歩きだした。
「あっ、待てよ!真胡!!」
「今日はどこ行くの…?」
目線を合わせずに言う。
「えっ?ああ、遊園地!前に行きたいって言ってただろ?」
「あぁ…、そういえば、そうだね…」
「…真胡?」
「なに?」
「怒ってる…?」
「別に…」
私は玲志と視線を合わさないまま、遊園地へと歩いた。
―遊園地―
この遊園地も玲志と付き合ってから二年間で、十回は来ている場所だ。
いい加減乗る物が無くなる。
ふと振り返り、玲志を見ると、半泣き状態で私の方に向かって走っていた。
「ま、待って!」
「…目にゴミでも入った?」
「ふ…ぇ……?」
「涙出てるから…」
「あ…あぁ、うん!そう!!」
「そっか。…あの店入る?」
私は遊園地の中にあるカフェを指してそう言った。
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