8人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は女の子を探した。
おかしい。
前後左右、眼を懲らして探したが何処にもいない。
「俺はここだぞ」
はっきり聞こえた。
女の子の声だ。
「何処にいる!」
僕は言い放った。
あれ?
おかしいな。
声が出るじゃないか。
「アハハハハ。今頃気付いたのか」
そう笑いながら女の子は僕の真後ろに居た。
僕の陰から出てきた。
「どうだ、びっくりしただろ?」
女の子は自慢げに話し掛けて来た。
「あぁ、驚いた」
僕は冷静に対処する。
でもこの台詞はただの建前だ。
本当は凄く恐い。
傷だらけの女の子がいきなり僕の陰から出て来るんだ。
おまけに笑いを見せる。
「僕は 藤咲 トオル、君は?」
僕は尋ねた。
「俺は、[FirstSound=Sky:ファーストサウンド=スカイ]だ。」
日本人じゃないみたいだ。
そもそも人間ではないだろう。
「その傷痛くないのか?」
僕は傷の心配をした。
「お前こそ恐くないのか?
俺は人間じゃないんだぞ?」
ファーストサウンドは変わった物を見る様な眼をする。
「じゃあ君は何なんだ?」
「俺は<吸血鬼>だ」
場の空気が凍った。
最初のコメントを投稿しよう!