第五章 【試練】

2/121
2844人が本棚に入れています
本棚に追加
/590ページ
「終わった?」 「はい…。 でも、今回だけだよって言われました…」 私は内山さんの横に座る。 「なんだかんだ言っても患者が痛がれば打ってくれるよ」 軽いなぁ…。 注射も痛いんだけどな…。 でも我慢、我慢。 「そうだ。 ミーティングの内容は何だったの?」 「色々です。 今後の目標とか…そういうのを。 後で高須さんと内山さんには報告しますから」 私は会計を済ませて内山さんと会社に向かう。 「後で事務所の先輩達にも挨拶して回らないとな」 「あ~ぁ…そうですよね」 せっかく高3になって先輩が居なくなったと思って気楽だったけど、社会に出たらまた先輩、後輩があるんだよね。 学生気分を早く抜かないと。 健斗みたいに早く落ち着きたい。 健斗と話してると自分がどれだけガキかわかる。 1歳しか違わないのに、学生と社会人の価値観の違いは大きい。 陸には悪いけど、陸がダブリで良かったかも…。 学生の今でも頼りになるけど、陸が社会人の先輩なら価値観の違いで喧嘩ばかりしてそうだし…。 それに今みたいに隙があれば所構わずキスしてくれなさそうだし。 陸には今のままの陸で居て欲しいな。
/590ページ

最初のコメントを投稿しよう!