第一章 【居場所】

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「わかった。 アレンジお願い」 「ねぇねぇ!! 今夜は歓迎会しようよ!!」 亮が嬉しそうに言う。 「良いけどスタジオでな?」 「え~っ!!」 「仕方ないだろ!? アレンジ間に合わないんだから。 それに…のあ、今の発声方法なら歌によっては喉に負担がかかる。 いつか喉潰すぞ?」 喉を潰す? 「発声のことを考えたこと無かった。 ハスキーになっちゃうってこと?」 「のあはバラードに近い歌が好きだろ? この前のスティングの曲もそうだ」 「うん!! 考えたら好きな洋楽は全部そうかも」 「のあチャンは洋楽が好きなんだ?」 いつの間にか亮はパフェを頼んでいる。 似合いすぎる…。 「うん。 スティングとかクラプトンとか、スティービーとか…」 「大御所が多いな」 「お父さんが好きだったの。 その影響。 ギターもお父さんのお下がりだし」 「のあって音楽聴く時や歌う時、目瞑るだろ?」 「うん」 「自分の体が横に揺れてリズムとってることに気付いてる?」 頭の中で想像する。 「うん!! そうかも!!」 「なかなか首を縦に動かす歌は聴かないんじゃないか?」 「聴かない!!」 「その縦揺れが俺達の音楽だから…変える部分は多いと思う」
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