第一章 【居場所】

39/46

2847人が本棚に入れています
本棚に追加
/590ページ
私は急いでシャワーを浴びて勉強机の引き出しを開けた。 そして封筒を取り出す。 いつも1人にしてごめんねって、お母さん達がテーブルに置いて行ったお金。 小学の頃からずっと貯めてたら、いつの間にか凄い金額になってた。 なんとなく貯金する気になれなくて現金で持ってる。 「いくら位持って行こう…。 何枚か買うよね?」 取り敢えず5万を財布に入れて家を出て鍵をかけた。 そして振り返る。 「あっ…陸…」 家の前にはダメージジーンズに両手を入れて、パーカー姿の陸が立っていた。 「どうしたの?」 「亮が俺の服着たんだけど、やっぱりサイズが合わなくて1度帰った」 「そうだと思った」 私は笑った。 「亮と陸の身長って結構違うよね?」 「15センチ違う。 アイツ馬鹿だから」 陸も笑った。 「CD持ったか?」 「あっ!! 持ってない!! 昨日作ってもらったCDだよね? 待ってて!! すぐ持って来る!!」 部屋に戻りCDを紙袋に入れた。 あれ? それを言いに来てくれたのかな? ガチャ!! 「ごめんね!! ねぇ、ギターも持った方が良いよね?」 「ギターは俺が持って駅のロッカーに入れた。 今日からお前のギターは俺だから」
/590ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2847人が本棚に入れています
本棚に追加