第一章 【居場所】

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原宿に近づくにつれて電車が混んでくる。 2人が見えない。 辛うじて陸の茶色の頭が見えるだけ。 『次は原宿駅。原宿駅』 アナウンスが入って私は慌てて立った。 プシューッ!! ドアが開く。 「すみません、ちょっとすみません」 人混みを掻き分ける。 その時、誰かが私の手を強く引っ張った。 「キャッ!!」 電車の段差につまずき転びそうになったのを抱き止めてくれた人。 「危ないだろ!?」 「陸…ごめん」 初めて男の人に抱き止められた…。 大きくてガッシリしてた…。 「修学旅行か…混んでるな。 のあ、はぐれるなよ?」 「うん」 さっき、電車で手を引っ張ってくれてから、ずっと手は握られている。 良いのかな…。 どのタイミングで離せば良いんだろう? 「あっ!! りっ君ズルい!!」 えっ!? 「のあチャン俺も!!」 亮が手を出す。 私は笑ってその手を握った。 「なんだか小学生みたいだね」 そう言う私を陸は見下ろす。 「なんだか亮が2人居るみたいだ…」 私を挟んで3人で手を繋ぐ。 変な感じだけど楽しい!! 「どの店行くの?」 「りっ君の友達が働いてる店。 ライブの服はほとんどその店なんだ!!」
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