第一章 【居場所】

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無視をしてもついて来る。 断っても断っても、エステの勧誘やら化粧品の勧誘やら次から次へと。 だんだんイライラしてきた。 「ご馳走するから行こうよ?」 「マジでウザイから!!」 スーツの男を睨んだ。 「行かないって言ってるでしょ? しつこいんだよ!!」 これだから原宿は苦手だ。 「可愛いからって調子に乗んなよ!?」 「痛いっ」 腕を強く握られる。 「離して…」 「離せよ。 嫌がってるだろ?」 陸!? 亮!? 私は振り返る。 違う…誰? 「何だよ。 男付きか」 キャッチの男はあっさり消えた。 「ありがとうございました」 私は頭を下げた。 「良いよ。 君可愛いし」 なんだかキャッチの男より胡散臭い。 「じゃあ、失礼します」 「ちょっと待ってよ。 助けたのにバイバイは無いんじゃない?」 やっぱり…。 「急いでるんです。 友達も待ってるから」 「良いから来いよ」 コイツ…ヤバイかも!! 「亮ちゃんキーック!!」 えっ!? 「うわっ!!」 「亮!!」 亮の飛び蹴りで男は倒れた。 「うちの大事な姫に何してんのかな?」 「陸!!」 「失せろ!!」 陸の低くて恐い声で男は逃げて行った。 「1人で出てくなよ」
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