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「すいません、このお皿下げてもいいですか?」 会話中に横から入った言葉は見ないではいられないほど低い声。 「あ、お願いします」 亜希の口調が少し穏やかになり、視界に入る長い指をぼんやりと見つめた。 私は徐々に上の方へと視線を移動していく。 「失礼します」 黒髪の綺麗な顔をした男の人。 一言で言えば… 「色気ダダ漏れだよね、あの人」 そうそう。 って…、前を見れば既にうっとりしてる亜希。 「でも、何か雰囲気怖くない?近寄り難いって言うか…」 「そう、ソコ!ソコがまた堪らなく良いって言うか…」 「亜希、好きだもんね。そういう人」 厨房へと戻って行く彼を見ながら私は亜希に言った。 「そうかも。野生に生きてます、みたいなオーラ好きなのよ」 「ココの喫茶店選んだ理由も、もしかしてあの人狙い?」 「それもあるけど…、ココそこまで高くないし、落ち着くじゃない?」 確かに… 別にガヤガヤ騒ぐ雰囲気でもなく落ち着いたお店。
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