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『柚木?』   扉を開けたら玄関に柚木が体育座りで座っていた   『な…なんで?』   柚木はゆっくり立ち上がって手の平の鍵を見せた   それは俺が渡した このマンションの鍵…もう処分されていたのかと思った   『バカだなぁ入るなら…こんな玄関で待たなくても中に入ればいいだろ(笑)』   俺は柚木が来てくれてた事が素直に嬉しかった   今までの疲れが一編に飛んでいく   自分でも頬が緩むのが分かる   『電話したんだぞ 待ってるの分かってたら もっと早く帰ってきたのに…』   俺は俯いて黙り続ける柚木の頭を撫でた   『とりあえず中に入れ』   俺は柚木とリビングにうつる   やはり何か話があるのだろう   柚木が黙る時は何かしら抱えてる物が大きすぎて言葉にするのが難しい時   それを ちゃんと話しやすいように聞き出してやれればいいんだが…   容易い事ではない   柚木は俺にまだ一線を引いている   踏み込む場所を間違えたらとたんに柚木は背を向けてしまうから…  
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