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俺は いつもの様にソファに体育座りする柚木にビールを差し出して隣に座った   そして焦らず気長に柚木が話すタイミングを待つのがコツだ   どんな高級ワインより家で飲むビールは格別で 柚木が隣に居ると更に特別な味わいとなると思う   柚木は脇に置いていた鞄から封筒を出して俺に渡す   『これ預かっておいて下さい』   封筒には【退職願い】と書かれている …そう来たか   『分かった』   俺が すんなり了承したもんだから柚木はキョトンとする   『何だよ(笑)断られると思ったのか?』   『いえ……もっと詮索されるのかと思ってたから…』   俺は柚木に微笑む 俺に【預ける】って事は今はまだ辞めるつもりないって事   柚木の中でインテリアデザイン賞に全てを賭ける強い意志が分かったし   仕事に向き合う一歩を踏み出したんだと思えた  
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