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『何か…嬉しそうですね』
柚木が眉間に皺を寄せた
『止めて欲しかったか?』
俺は腕を伸ばして柚木の髪に触れた
『そんなんじゃないですけど…』
柚木は顔を膝の間に顔を埋める
『お前が会社を辞めるかもしれないっていうのが嬉しいんじゃない……これを俺に預けたって事が嬉しかったんだよ』
『………』
大切な物を預けるなんて信頼されていないと出来ない…
この退職届は切札
大袈裟かもしれないが柚木の人生を預けられている様なものだと感じた
『柚木がしたい様に…後悔しない様に…全力を尽くせばいいと思うよ』
今までの柚木は藤谷支店長に認められたくて頑張って仕事をしていた
でも今は柚木自身の為に頑張ろうとしている
結果がどうであれ
ただ何もせず退職するより 遥かに大きいものが柚木には残ると思うんだ
柚木はきっと乗り越える
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