混乱及び襲撃

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同時刻。 ケロロ小隊地下秘密基地における重量級の沈黙は、重量級の沈黙で報われた。隊長たるケロロ軍曹と機動歩兵たるギロロ伍長は視線をモニターに固定し、一言も発しない。モニターの中にあるのは、地球を覆うように取り囲む光の輪と生気を失ったように蒼白く輝く地球の哀れな姿だった。 場違いに野戦服を着こなすケロロはただ唖然としてモニターを凝視している。 『堕落と荒廃の創世児』と謳われたケロロ小隊隊長の戦闘的な野戦服姿は、ギロロ伍長の長年の夢であったが、隊長の確固たる侵略姿勢(?)と呆然とスクリーンを眺めやる情けない姿とのミスマッチ感は、さしあたりギロロ伍長に感銘は与えなかった。 上官二人の無言の詰問に対する黄色の参謀の返答はこうだった。 「『プラネットアネスシージャ』………… 俗にいう惑星麻酔ってやつだ。 星全体を仮死状態にして一気に侵略を進める究極戦略だな」 トラブル&アクシデントを信条とするクルル曹長はどうやらというより、やはりこの状況を楽しんでいるようだった。話す声にも彼の心情がにじみ出ている。 「有効時間はその星の周期にして一日……… それ以上は星自体にダメージを与えかねないからな。 普通は使わない戦法だぜ」 参謀の言わんとするところを、了解したのはギロロである。 「どうやら俺たちより先に行動を開始した者がいるようだな………」 ギロロの推測めいた言動は、隊長の憤激とオペレーターである『恐怖の大王』アンゴル・モアの疑問を釣り上げた。 「一体誰が… てゆーか敵対種族?」 四字熟語の反問を、ギロロは否定した。 「いや、恐らく地球潜伏中の他種族も同様だろう…」ある確信が彼の体内で熟成していた。 「動けているのは俺たちだけ…つまり……」 全員の思考が、ある答えを導き出した。 「「「「ケロン軍!!?」」」」
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