序章

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…討伐軍が組織され、艦船三万七千という大艦隊が惑星アルテア7外円部十一万八千キロ地点に集結された。これに対し、ケロン軍は艦船三万五千であった。 ヴァイパー軍は意外な苦戦を強いられることとなる。長距離の遠征を強いられた将兵に身心の疲労が蓄積されていたこと、敵の実力を過小評価し、戦略構想が粗雑であったこと、そしてケロン軍に有能な指揮官がいたこと、それらの要因が積み重なりケロン軍の戦いを支援えていた。『鬼の軍曹』と呼ばれた…『鬼の軍曹』指揮する一万七千の艦隊が凹字陣形から平行線に分布しているヴァイパー軍を左右から突き崩すと全軍を高速移動させ、そのまま反転し惑星アルテア7の方向へ押しまくりはじめた。総司令ヴァイパーV5は「アルテア7軌道上に別動隊がおり前後から挟撃をかけるつもりだ!」と断定し、本隊を撃滅した後、急反転し別動隊に攻撃をかけるよう指示した。凹字陣形の敵に対し、凸字陣形をとったヴァイパー軍は陣容の薄い中心部に火線を集中し、穴を開けるとそこを突き破って再び漆黒の宇宙へと歩を向けた。しかし、それこそが狡猾極まる罠の真髄なのであった。
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