発火点

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「これだけ本部からの突き上げが緩いのも、俺たちを事実上、放置撤退したことが多分にあるからだろうが…」 ギロロ伍長は怠け者の隊長のように楽天的ではあり得なかったから、現段階の状況が恒久的な未来を作り出すとは、さすがに考えていなかった。 日向家庭先のテントでケロロ小隊機動歩兵は黙々と思案にふけっている。 「しかし、この状況が果たしていつまで続くことか」まったく、その疑問がギロロの脳裏にいつも不審の巣を作っていた。先行特殊工作部隊というのは、もともと作戦遂行をより円滑にするため調査、偵察、各種工作に従事する、いうなれば裏で活躍する「黒子」なのである。本来ならケロンにとっては、路傍の小石程度の価値しかないはずなのだが…。 …それにしても! ギロロは思わずにはいられなかった。 …もとはといえば、あいつのせいなのだ!やつが地球人に発見されることさえなければ、万事うまくいっていたものを! 伍長は心の中でひとしきり隊長を罵倒したが、「ニャ~」という空気の波が彼の思考回路を撹乱した。 振り替えると、ギロロのテントのもう一人の構成員が愛想よくしっぽを振っていた。 …確か、地球語で「ネコ」とかいった、地球の動物だったか。 彼は、記憶回路の中に彼(彼女)(?)の顔を見出だし、ふっと微笑を浮かべた。 こうして考えて見ると、やはり今の生活は、ギロロの精神の土壌に安心の根をおろしていた。例えそれが、永遠ならざるものだとしても…。 「俺の戦士の勘も鈍ったものだな…」 彼は独語した。
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