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私達は大敗を喫した。
聖域を取り戻すが為、踏み入れた者に災厄が降り懸かる魔境と化し、今や神の拠点となっている森殿に奇襲を掛け、結果は無惨な敗けだ。
20人余りいた精鋭は悉(ことごと)くやられ、撤退する間もなく全滅。最後の生き残りである私でさえもう、森から抜け出したが全身の感覚がもうない……。
死ぬのかな……死ぬのだろう。
そう分かってしまう体の状況。片腕は無く、両足を引きずりながら這っていたので皮膚は擦りむいて無くなり血だらけ、内臓(なか)に至ってはあるのかどうかさえ怪しい。
生きているのが不思議なくらいで、もう命が尽きる事なんか一番理解していた。
私達が、神に挑んだのが間違いだったのかもしれない。
あれだけの猛者がいたにも関わらず何も出来なかったなんて、人間如きが神に逆らうなと言われたようで、為す術もなく異端の力の前に壊滅した。
あれだけ鍛えた剣術も使う事なく、一瞬で勝負がついてしまうのはあまりにも理不尽であった。人間と神は、私達と彼等の力量差がここまであるとは、恨みたくなるくらい。
体から生気が抜けていく。死に体の躰、生かしているのは怒りの感情であり、理不尽を受け入れてしまえば人生は終わり。
目を閉じ、生涯を閉じてしまえば良い。そう思っていた時。
私を見下ろしている影に気がつく。
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