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「お前が契約主か」
温厚そうな青年が私の頭を撫でるように触れていた。特徴も何もなく、だからこそ怪しいという印象が離れないような顔をしていた。
私の言葉に対して、その青年は違う部分に訂正を入れる。
「契約は我がしたが、契約主ではない。貴様が契約したのはこの星であり、我はその使いでここに参っただけだ。
もう契約は完了しているから、生かされた今後は星の為に尽力し使命を果たしてもらう事になる」
本当だ、体が軽い。出ていくだけの血液も流れなく、傷だって塞がれて中身だって戻っている。無くしたハズの片腕も今や両方揃っている。
私は、生かされた。生きたいと願ったから、こうして生きている。
ならばこちらも契約を果たさねば。
「聖域の奪還と機能の復元、だったね?」
「あぁその通りだ」
そんなの言われなくても、生かされたからにはこの命の使い道は1つ。理不尽に殺された仕返しを、元々先祖が住まっていた故郷を神の手から取り返すだけ。
例え契約なんか結ばなかったとしても、やる事は変わりはしなかったのだから。快く了承する。
「了解した。生かして貰えたからには全力を尽くして任をこなそう、聖域をもう一度私達の手に取り返す。そして元の森に戻してみせる」
胡散臭い星の使いにそう言い切れば、笑みをこぼしながらそいつは言葉を返す。
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