プロローグ

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「そう言って貰えて助かる。なに、与えた力があればそう難しい任ではなかろう、無理をせず気長に果たしてくれれば構わん」 「与えた力? 体を這いずり回るこの異質なものの事か?」  未だにどこか定位置かも分からず、体中を駆け巡って居場所を探しているような異質のもの。血管や筋を這い回られているのはどうにも落ち着かない。  これの正体について尋ねれば、隠す事はなく得意気に説明してもらえた。 「貴様に与えたのは'人災の抗約'。人が行う害なす行為の影響を受け付けはしない、対人専用の絶対防衛力。  聖域を制圧しているのが人ばかりであるから、この力があれば苦もなく任を果たす事が出来よう」 「人の害なす行為を防ぐ、ねぇ。でも聖域にいるのは神だよ? 人ではないアイツ等にそんな力があったところで」 「神だから何だという? 星からみればあれもまた人、でなければそんな力を与えたりはしないぞ」  それもそうか。なら、神の攻撃すら防ぐ力を授かったという事で理解しよう。それが真であるかどうかは、今の私には確かめる事が出来ないのだけれど。  あ、そうだ。そんなつもりはさらさら無いけれど、一応聞いておこうか。
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