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星の使いと出会ってから数年間は、聖域を取り戻す戦いを1人で行っていた。いや、正確には1人でも十分であったからだ。
'人災の抗約'。使いの者が言っていた通り、この力さえあれば聖域奪還の使命など楽に果たす事が出来る。
この力は、敵が人である限り、私は一切の被害を受け付けない能力である。敵が使用してくる武器も概念能力も、拒絶して防ぐ壁が生成され私の体に届かせなくしてくれる。
しかも、それだけではない。
敵も私を脅威と感じたのか、増援を呼ばれて奪還戦は泥沼と化してしまい更に数年時を費やしたのだが、私の容姿どころか体の機能が老い衰える事も無くなっていた。
ほんの試しに首切り自殺をしてみたが、それも人が起こした災害と見受けられたのだろう、私は死ぬ事なく拒絶の壁に剣を阻まれた。
自殺も出来ぬ、老衰もせぬ、そして人である限り敵は私を倒せない。人間達にとってこれ以上無い切り札がいるのを聞きつけてか、私と同胞になりたい者が少しずつ集まって。
更に数年経つ頃には、私が王となり指揮する国が出来上がっていた。民の人数は200人もいないが、一国が聖域を奪還する為に神に牙を向けた。
私という切り札と精鋭の兵士。前に何も出来ぬまま敗れた土地で、今度は勝利の美酒を堪能する事が出来た。
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