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ドアを開けると、そこにはさっきドアスコープで見た髪の長い女が立っていた。
真正面から直に見ると正直〝かわいい〟と思った。
街ですれ違えば必ず振り向くような、もしくは合コンで出会ったら絶対に嬉しいような、そんな女だった。
それは、ストライクど真ん中。
かなり、僕のタイプの女だった。
彼女は大人びていて、僕よりも年上かな? と思ってしまうような雰囲気を持っていたが、次の瞬間には兄貴なんだから年上なのは当たり前か、と我に返った。
「おい、いつまでここに立たせておく気だよ。中に入れてくれないのか?」
見た目とまるで違う話し方をするこの女が本当に兄貴なのか、未だに信じられなかったが、こういう話し方はまさに昔の兄貴そのものだった。
「……ああ、ごめん。どうぞ」
そう言って僕はすっかり見違えてしまった兄貴を部屋の中に通した。
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