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ケンカ、カツアゲ、万引き……。
気づくと僕と兄は子供がする悪事を一通り覚え、それは次第にエスカレートしていった。
しかし、僕にはそれが犯罪であるという自覚はなく、兄と一緒にゲームを楽しんでいる、そんな感じだった。
万引きをはじめ、ケンカやカツアゲも自己顕示欲の象徴だった。
小学生のうちはまだかわいらしいものだったが、僕が中学に進学し、兄貴が高校生になると、それはもはや犯罪以外の何ものでもなかった。
そして、僕らはあるとんでもない事件を起こし、遂に警察に逮捕されそうになった。
しかし、僕は逮捕されなかった。
兄貴が僕を庇って、一人で罪を被ってくれたのだ。
兄貴は裁判で有罪が確定し、少年院に送られた。
僕は日常生活を続けることができたが、兄が逮捕されたことで地元にはいられなくなり、そのまま家族と共に引っ越すことになった。
兄貴が捕まったことで、僕は生まれてはじめて罪悪感を感じ、庇ってくれた兄への謝罪の念もあり、いつしか犯罪を犯さなくなり、普通の暮らしをするようになっていた。
兄の逮捕がなければ、僕は今とは全く違う人生を歩んでいただろう。
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