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昔の記憶を思い出していた僕は、突然の物音で我に返った。
どうやら兄貴がバスルームから出てきたらしい。
兄貴がシャワーを浴びて風呂場から出てきたと思えば、別にどうってことはない。
しかし、今の兄貴は昔とは別人に思えるほどいい女になっていた。
兄貴は無言でベッドに近づいてくると、ベッドの前で一度立ち止まり、そして、僕が包まっている毛布の中に体を滑り込ませてきた。
暗闇の中、兄貴の気配が伝わってくる。
そればかりか、兄貴は本当に元男とは思えないような湯上りのいい匂いを放ち、壁の方を向いて横になっていた僕の背後に横になっていた。
僕と兄貴の間は僅か数センチしか離れていないだろう。
兄貴の温もり、体温を感じる。
正直、僕はドキドキしていた。
兄貴だと思えば変な感じだが、これが普通の綺麗な女の子だとしたら、どんなに嬉しいことだろうか?
そして、もしそうだとすれば、僕はこの先どうしているだろうか?
僕は兄貴とセックスをしてしまうのだろうか?
その時、僕はハッとなりあることに気づいた。
性転換手術と言葉で言ってしまえば簡単だが、今の兄貴の体は一体どうなっているのだろうか?
完全に女のものなのだろうか?
それとも……。
僕がそんなことを考えていた時だった。
兄貴の手がフッと僕の背中に触れてきた。
【続く】
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