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全てが夢の中の出来事のようだった。
いや、夢と現実がごっちゃになったという方がいいだろう。
現場は真っ暗闇なベッドの中だったし、欲望と興奮と混乱の中で起こった。
僕自身、今まで経験したことのなかったことだったし、実際に何が起こったのか目で確認したわけじゃない。
だから、実際には何が起こったのか、他人に説明などできなかった。
しかし、あの夜確実に〝何か〟が起こったことは間違いなかった。
あの感触が僕が想像した通りのことだったとしても、僕は死んだわけではなかったし、ただ、あまりにも混乱していたせいか、自分の回路を遮断するように、深い眠りについてしまった。
だからこそ、余計にあの夜何が起こったのか分からなかったし、現実と夢の区別がつかなくなってしまったのだと思う。
ただ、あの夜を境に、僕の日常は大きく変わっていくことになる。
それは、兄がトップモデルのような女になって突然僕の元に帰ってきた以上にとてつもない変化だった。
とにかく、僕はあの夜の出来事をうやむやにしたまま女となった兄(姉)と共同生活を
始めることになったんだ。
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